冬の黄昏

光の嘆き 黄昏が舞い降りる声を枯らした烏の声 生命の終わり 破れたポストカードに記されていた言葉 「神の御心をあなたに」そこで途切れている 凍りついた街 手の平で息吹を感じる琥珀色の魂 それだけを携えて 褪せた壁に書き殴られた言葉 「全ては運命の」…

それは、始めは小さなシミだった 白い白い純白のシーツに、ぽつんと堕ちていた、あたしの中の悪意 ゴシゴシと擦ったら、汚らしく広がって、 収拾がつかなくなったから、そのまま放っておくことにした 次第に、あたしの心を占拠してゆく目を背けようとも逃れ…

遺書

遺書とは誰に向けて記すものなのか。 僕は、分配する必要があるような財産など持ち合わせておらず、伝えねばならない事など何一つ、誰一人として存在しない。だから、僕は自分の為に遺書を記そうと思う。 自分だけに宛てた遺書を記そうと思う。 君の中に生ま…

あたしの中の汚れた気持ちが、 夜を包み込んでは、沈みゆく 何処まで続くのだろう何処に飲み込まれてゆくのだろう 降り止まない雨に、 不安にもなるの 生きてゆくこの全てが 明かりのない夜は嫌いなの このまま生きていけるとはとても思えないから それでも…

人生の多くは悲しみで覆われている気がする僕はそんなに笑わないし、あれが欲しい、これがしたいとは思わない けれども、一度だってこれを放棄したことはない生きる 誰かの幸せの下には、 必ず誰かの不幸せが存在し、 世界は絶望の上にこの美しさを保つ それ…

段階を踏んで、高みを目指し、 疲れ果てては、目を閉じる 満月に照らされた海岸で、 忘れてしまったこと、 伝えようのないことを、 思い出していた 後のことは、良く覚えていない心地良くて、再び目を閉じたから

東京夜行

夜の東京へ紛れ込みました久しぶりに、あちらこちらに互いに隠しきれない緊張感を抱えながらも、 同じ景色を眺める悦びに浸り、 宛ても無く街を彷徨いました 月夜の東京がひっそりと静まり返る中、 互いの脈動は一筋の軌跡となり、それは二人の為に用意され…

人恋しくて、闇の中で

くっきりと区切られた地平線の上で、 夕陽が恐ろしい勢いで沈み始める軒間から零れる光が力を失い、 世界は沈黙に包まれた そこにあると信じていたものを、 失うことの痛みに気付いたのは、いったい何度目のことだろう 本能のまま導かれる獰猛な獣に憧れて、…

夜に轢かれて

雲の流れがやけに速い夜のこと人通りの無い交差点で信号が虚しい役目を果たしている 意を決して一匹の猫が通りを横切ろうと飛び出したが、 轟音を響かせる車に行く手を阻まれ、足が竦んで身動きが取れなくなった 小さな鞠のように弾き飛ばされる姿がスローモ…

バスタブの中で

ぽつんと一人になってから今日を振り返ると、なんで笑ったんだろ?と後悔する本当は楽しくなかったよね本当はあんな顔するべきじゃなかった 他人の群れの中で共存を選ぶためには、 自分の心は必要とされていないのかもしれない 大勢の笑い声 楽しそう笑わな…

自分らしくありたいと、人が選んだ道を避けた孤立することによって、個を確立せんとした人とは違う、獣になりたかった 強くありたいと望む裏で 寂しい思いをしないように、人と笑い合いたかった愛されたいと、強く願った それができなかったから、全てを拒絶…

葛籠

何だか溢れ出してしまいそうなのです。きちんと葛籠に仕舞って置いた筈なのに、何時の間にやら彼方此方に散乱してしまい、此処を閉じれば彼処が開くで、なかなか成立してくれない様相。その内に乱れた葛籠の中にも秩序を感じてしまうのは、私に巣くう怠惰が…

冬の犬

空風吹き荒ぶ冬の夜のこと。 ガードレール脇の芝生に、痩せこけた野良犬がポツンと座っていた。そのハイウェイを利用する車の群れは、人工的な光で闇を切り裂き、けたたましい音を響かせ通りを過ぎていった。何台も、何台も、途切れることなく。それは何かこ…

猜疑心という分厚い皮で覆われた人間に、 中身は必要なのだろうか誰にも見せない、誰にも与えない、誰にも使わない、そんな本当の自分に存在意義はあるのだろうか停滞する流れが淀んでいくように、 動かさない歯車が錆び付いていくように、 使わない自分が腐…

真夜中でダンス

精神病棟の白い衣服がよく似合う彼女。髪の毛はボサボサの鳥の巣で、右手に針むしろのテディベアをしっかりと握りしめながら、サイレン音を真似して「うーうー」叫び出すようなカワイイ彼女がボクには必要なんだ。彼女をもてなす為に、マンハッタンビルの2…

降りしきる雨の音が遠ざかり、雲間から月が顔を覗かせる誰もが水溜りを避けることに夢中で、月の存在に気付かないなんだかもったいない気がして、人の流れに逆らうように、ふいに立ち止まって空を見上げた 綺麗になんて生きれないし、正しい道なんてとうの昔…

眠り

偽りの心を抱いた己に決別を告げるために、 奇妙な浮遊感に包まれた深い眠りを迎える 物語の途中で詠むことを止めてしまうと、 次に開いたときに別の物語と成ってしまうように、 永い永い眠りを経て、別の生き物として覚醒する

せわしなく浮かんでは消えていく情景、誰かのせいにして それこそ子供の頃から、気が遠くなるぐらい繰り返してきた。何年も何年も、それだけに没頭することで色々なものが犠牲になった。 きっと楽しいことは他にもあったと思うよ。でも、それは選ばなかった…

「私は誰からも必要とされていない」彼女がため息をつくたびに目の前にいる自分が含まれていないことに失望しいたたまれない気持ちになった「そんなことはないよ」押し殺した思いを気付かれぬよう自分は上手く言えただろうか?

惨めな気分になる。そのうち忘れてしまう程度の。自分がよくわからなくなった。今さら誰かを好きになれるとは思えない。 -- 「おっさんずラブ」を進められた。https://www.tv-asahi.co.jp/ossanslove/news/0028/今のところ、よくわからない。時間かかる。ご…

タバコの煙が燻る部屋の片隅で、あなたの背中に向かって言葉を投げかけた 曖昧な返事が届けられて、二人の距離が浮き彫りになるそしてまたあたしは後悔に押し潰されてゆく どうして問うたのだろう?答えはわかっていたはずなのに別れを促すだけなのに 形とし…

ぽつん・・・ぽとん・・・ぴちゃん・・・何処からか雫が堕ちる音が聞こえてくる。辺りを見渡してみても一面寒々しい灰色の壁で埋め尽くされており、光は遮られて届かない。何時からあたしは此処に居るのだろう。何時まであたしは此処に居るのだろう。 空っぽで満たさ…

くっきりと区切られた地平線の上で、夕陽が恐ろしい勢いで沈み始める軒間から零れる光が力を失い、世界は沈黙に包まれた そこにあると信じていたものを、失うことの痛みに気付いたのは、いったい何度目のことだろう 本能のまま導かれる獰猛な獣に憧れて、対…

役目を終えた電話ボックスの冷たい影に隠れるように、どうしようも無い気分で疲れた荷を降ろす 願い適わぬまま、今日という一日が終わってゆく明日に繋がる今日を望み、また灯が消えてゆく 忙しそうに街を横切る人々は、夕陽を眩しいと思うのだろうか

人生の中で、僕はよく待っている。対象は、物であったり人であったりと様々だが、僕はいつもそれが現れるのを心待ちにしている。 待っていること、それ自体は苦痛ではない。自分の無意味な人生に、意味を持たせられている気がするからだ。 それが現れたとき…

大切なことを忘れて、軽々しく笑ってしまうような口なら、要らないんだ 不必要なものを切り棄てる、前しか見えない目など、欲しくはないんだ 何処までも埋まらない距離を、君と僕で打ち消してやるんだから

段階を踏んで、高みを目指し、疲れ果てて、目を閉じる 満月に照らされた海岸で、忘れてしまったこと、伝えようのないことを、思い出していた 後のことは、良く覚えていない心地良くて、再び目を閉じたから

死にたいなんて言うなよまるで死なないみたいじゃないか 僕らは死ぬよそう遠くないうちにそれだけは絶対に確かなことで 「絶対に敵わない、絶対に逃れられないだとしたらライオンは、あたしにとって運命そのものだ」 僕は、誰とも話さないそれを望んでいる …

無責任な約束だとしても、希望があっていいじゃないかそれぐらいの余地があったっていい信じてしまうほど、愚かなぐらいがちょうどいい

また、雪が降ってきた 「しあわせ?」と聞かれても答えられないよ 君がいない暮らしでその質問にはなんて答えるべきだろう そんなことをぼんやり考えていた