1999-01-01から1年間の記事一覧

袖口に付いた汚れをゴシゴシとこすり落としていく。初めは染み入る冷たさに耐えつつ、次第に感覚が麻痺してきて、やがて何も感じなくなってしまう。人は慣れていく生き物だから、時間の経過と共に褪せていくことは仕方がないのかもしれない。付き合い初めに…

それこそ幼少の頃から、気が遠くなるぐらい繰り返してきた。何年も何年も、それだけに没頭することで様々なものが犠牲になった。 きっと楽しいことは他にもあったと思うよ。でも、それは選ばなかった。 ここで諦めたら今まで積み重ねてきたこと全てが無駄に…

「なんでそんなことするんだよっ」「おまえは違うんじゃなかったのかよ!」「おまえだけは違うんじゃなかったのかよっ!!!!」 「お願いです。お金を貸して下さい」「俺がお金持ちだからですか?」 「俺、つかえると思ったんでしょ」「わかるよ」「だって…

暗室では次々と惨殺死体の写真が現像されていく。 ああ、これはこの間ワイドショーで話題に上った、桜花組組長を殺ったときのネガなんだな。 5コマ前には、女の腰に両手を廻し下卑た笑いをあげる組長が写し出されているのに、5コマ後には、削ぎ落とされた…

バランスを取ろうとしているだけなんだと思う。もう一度やり直したいとは思わないし、それが適わないことも知っている。どちらか一方が息絶えるまで憎しみ合う、世界で一番遠い他人のことを時々思い出しては疲れてしまう。書いて吐き出して、ホッとする。そ…

悲しいも、嬉しいと思うことも、次第に薄れていった。そして、時間をかけてゆっくりと他人に戻っていく。 楽しかったよ。でも思い出せない。彼女の癖も、言葉も、温もりも。まるで初めから存在しなかったように、上手く思い出せない。

よく聞かれるのが、許せたのかってこと。自分を?相手を?

彼女が酒を飲んでセックスをして帰ってきたことを隠さなくなった頃、私は不安定な精神を押し殺すことにくたびれていた。 疾うに糸は切れていたのに、私は変化を望まなかった。 一つ屋根の下で、彼女は金を無心し、私は変わらぬ愛情を欲していた。交わること…

私は横たわっていた。目を覚ましては絶望し、絶望に疲れ果てては眠りに落ちた。今日が何日の何曜日であるのか、晴れているのか雨が降っているのかさえわからず、カーテンの内側で浅い呼吸を繰り返すことが精々だった。ときどき胃がヒステリーを起こし、洗面…

Stars Of The Lid - Goodnight

7分間の夢をみる。短くて、長い夢を。

失くした経験があるということが、いいことなのかわるいことなのかはわからない。とにかく全てを失った。ありとあらゆるもの。代替案は用意していなかったから、一つも残らなかった。彼女を好きだったか?もちろん。あんなに近くにいた人はもう現れないと思…