それは、始めは小さなシミだった

白い白い純白のシーツに、ぽつんと堕ちていた、
あたしの中の悪意

ゴシゴシと擦ったら、汚らしく広がって、
収拾がつかなくなったから、
そのまま放っておくことにした

次第に、あたしの心を占拠してゆく
目を背けようとも逃れられなくなってゆく

他の綺麗な白に擦り付けてみたり、
覆い隠そうと白を上塗りしてみたり、

最後には、
あたしが何色だったのかわからない色になった

汚れ無き色だったのかもしれないし、
始めから濁っていたのかもしれない
もしかすると、
純白でありたいと願っていただけなのかもしれない

あたしに交わる人間は、濁った色を遠ざけようとする人ばかり
だからあたしは、あたしを見せることが出来なかった

あたしが生んだシミなのか、
シミが望んだのがあたしなのか、
それは、どうでもいいこと

あたしは黒でも白でも無い、
汚らわしい色を抱えているんだ