2099-05-01から1ヶ月間の記事一覧

月と小人

全てを飲み込んだ漆黒の海から漣が吐き出されては消えていく。それとコントラストを成すかのように、浜辺では砂粒が月光に反射してキラキラと輝いていた。昼間の喧騒に置いてけぼりにされて静まり返った浜辺の様子を気に止める者は無く、漣の他に音といえば…

天使にだって、なれるって

猫が死んでいたんです。 十字路の真ん中でずぶ濡れになりながら辛うじて生物であったことが認識できるような・・・それぐらいボロボロな状態で。もちろん走っている車達は目もくれませんよ。猫のことなど気付いても気付いてなくともお構いなしです。 歩道を歩い…

手を握り締めて

何時の日からか漠然とした恐怖が俺を覆っていた。 大切なものを失う喪失の痛みを知った日からだろうか? 安寧の心地良さを知ってしまったからだろうか? それでも俺は恐れの向こう側にあるはずの暖かいものを欲しがった。ギョロリとした目をぎらつかせながら…

ブラックアウト

ふっふっはっ、ふっふっ・・・いったい何処まで続くんだ、この直線は・・・先が霞んで見えるじゃないか・・・はっはぁ、落ち着け、呼吸を整えろ。焦ったって仕方がないんだ。ふっふっ、はっはっ・・・。冷静になって考えろ、次の角を曲がり終えるまでにウィルモッツを捉…

ラルゴ -The remake of "the dog of winter"-

空風吹き荒ぶ冬の夜のこと。ガードレール脇の芝生に痩せこけた野良犬がポツンと座っていた。その野良犬がまだ誰かの飼い犬だったとき、家族からは親しみを込めて「ラルゴ」と呼ばれていたが、今の野良犬をそう呼ぶ人間は誰もいなかった。 車の群れが轟音を響…

The Night needs Dead End.

夜を逃れるように眠りに堕ちても、新しい夢が見られる保証など何処にもない。見上げれば自分が底にいることを実感するだけ。終焉のベルを追い求め、現実を踏みしめてみたところでいったい何が変わるというのだろう。わかっているのは、昨日は今日に、今日は…

雑踏に飲み込まれてゆく彼女の姿を、ただ、ぼんやりと眺めていた僕と彼女の心が何一つ変わらないとしても、 時の流れが否応無しに二人を引き裂いてゆく 人は、立ち止まりながら生きていけない

君となら

何かが足りない日常に訪れた、 言葉では、 伝えられない想い 掠れた旋律に、含まれた真実 その光に包まれて、 君となら、乱れてもいいよ 君となら、届くはずだから