失くした経験があるということが、
いいことなのかわるいことなのかはわからない。
とにかく全てを失った。
ありとあらゆるもの。
代替案は用意していなかったから、
一つも残らなかった。
彼女を好きだったか?
もちろん。
あんなに近くにいた人はもう現れないと思う。
二人で穏やかに暮らすことだけを考えていた。
それが願いだった。
私だけの
一方的な願いだった。