彼女が酒を飲んでセックスをして帰ってきたことを隠さなくなった頃、
私は不安定な精神を押し殺すことにくたびれていた。
疾うに糸は切れていたのに、私は変化を望まなかった。
一つ屋根の下で、彼女は金を無心し、私は変わらぬ愛情を欲していた。
交わることはなく、溝は広がるばかりだった。
私は、問題の根幹を理解していなかったのだから、
それは当然のことだった。
二人を繋ぎとめていたものは預金通帳の残高であり、
私が期待していた思い入れや未練などといった類のものではなかった。
自分の惨めさに、
あまりにもバカバカしくて、笑ってしまう。
どうしても人を信じてみたかった。
そう言ったら、
言い訳に聞こえるだろうか。
奇麗事と罵られるだろうか。