鳥篭の鳥、パンを啄ばみ、空を忘れる

安寧とした暮らしの中、ぼんやりと生きていたい。できれば、猫を撫ぜながら。それを叶えるために、絶望的なまでの金が必要とされている。要領が悪い、臆病だ、だから身体を削っていくしかない。会話を繰り返す度に、どこからか軋む音がする。偽りの中で、出口を探して薄汚く罵りあう。

目指している場所と、それを手に入れる為の手段があまりにもかけ離れていて、時々わからなくなる。そこまでして手に入れる価値があるものなのか、どうして自分がそうなってしまったのか、よくわからない。うつらうつらと、緩やかに穏やかに、思考は鈍っていく。もしかしたら、死に近いものなのかもしれない。

あといくら必要なんだろう。あとどれぐらい犠牲にすれば良いのだろう。生きるために腐っていく。それはなんという矛盾なのだろう。