夜に離れて

書いては消して、また書いて。
そういえば、君への手紙を書くのはいつも夜だった。

君はいつも猫のように気まぐれだった。
手をたたいて笑いあっていたのに、ふと姿を消しては、またいつもと変わらない調子で
他愛ない話をして、近づいては遠ざかり、
そうして、灯を絶やさないよう、いつも僕を励ましてくれた。

ありがとう。
君がいたから、乗り越えることができた。
向こう岸に見える明かりを頼りに、前へと進むことができた。

まだ、覚えている。
あの夜のことを。
決して忘れないよ。

今ほどインターネットが普及していなかったころ、
黎明期ならではの、期待、発見、興奮、刺激、感情の坩堝。
そんな混沌とした夜明け前の喧騒のすき間で君と話をするようになった。

誤魔化しがきかない君との会話は、自分との対話でもあった。

多くの時間を過ごす中、様々なことが起きた。
繋がっているときも、そうではないときも。
良いことも、そうではないことも。

あの時間は、もう取り戻すことができない。

どこを切り取っても、懐かしいし、くすぐったくなる。
だから、尊い

この機会を与えてくれて、ありがとう。
思い出したよ。
当時の、この書き方で伝えたかった。

もっと話がしたかった。
弱い僕と向き合ってくれてありがとう。
君が困っているとき期待に応えられなくてごめん。
ほんとに自分が嫌になるよ。

夜に離れて、
また夜を思い出して。