フロアにぽつんと取り残されて、キーボードを叩く音だけが空しく鳴り響いている。
孤独感を払拭しようと躍起になって叩き続けていたら、FAXが低い振動で応えてくれた。
やあ、ありがとう。
向こうの誰かもまだ格闘中らしい。
一番乗りで出社をして、一番最後に会社を後にする。
いつからそんなに真面目になったのだろう?
さあ…知らないよ。線で区切れるものではないだろうし。
こんな場所でも独りだなんて笑ってしまう。
なんだか全てがバカバカしく思えてきて、背もたれに身体を委ねて、呼吸を止めてみる。
…。
……。
もう少し。
………。
どこまでいってももう少し。
決して指先が願いに届くことは無い。
苦しければ前に進んでいると勘違いしているだけ。
本当は何一つ変わっていないのに。
いつからこんな捻くれ者に?
さあ…。
ふあっと息を吐き出して、静寂を緩和しようとオーディオを付けてみれば懐かしい曲が流れている。
もう題名も忘れてしまった古い化石のような歌。

 

 

How does it feel
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknow
Like a rolling stone?

どんな気分だい?
ひとりになって
帰り道も分からず
誰にも知られなくなって
転がる石のように

[none:title=Bob Dylan - Like A Rolling Stone]

 

こうして誰とも交わらずに生きていく。
悲しみも喜びも必要とせずに。
それはどんな気分だい?
さあ…。