今日という一日

我が家の猫がニャーニャーと騒いでいる。

何事かと訝しげに思いながら視線をそちらに移すと、ご飯茶碗を右腕で叩きながら「おなか減ったぞー」とシュプレヒコールを繰り返している模様。
外界で汗水垂らしながらあくせく働いていた自分が、一日中室内で物思いに耽りながら寝そべっていた猫に命令されることに対して何処か釈然としない気持ちが拭えなかったが、「食べなければ死ぬ」という激しい主張に負け、渋々と重い腰を上げて晩御飯を用意した。

猫は「ニャー」と感謝の言葉を述べると、次の瞬間には僕の存在を消してしまったかのように、ガリガリと音を立てながらご飯を貪り始めた。その姿を見て「君は本当に我侭三昧だねぇ」と苦言を呈しながらも、自分の頬が柔らかに緩むのを感じていた。

そして今日という一日が終ってゆく。
思っていたよりも悪くない。