熱海、潮騒にて

隣で寝ている同僚のいびきが煩い
仕方なく
浜辺を散策することに

自分の家族を持つことは
諦めている
あまり良い思い出がないからと
誰かに責任を擦り付けるのも嫌だし
子供が欲しいとも思えない
決して口にはするまいと
固く結んで

月を探していると
また一つ、空から星が落ちていく
黒で塗りつぶされた夜に
放り出されて

将来なんて、どこにも見当たらない
空っぽの冷蔵庫に
生きていく分のお金を用意して
さっさと逃げ出したい

人気(ひとけ)のない砂浜
海に浮かぶ灯りを数えて
もう、君の夢は見ないようにと
潮騒に抱かれながら
うつらつら